GC/MS[ジーシー/エムエス] : Gas Chromatography/Mass Spectrometry
試料を気化した後、沸点や極性の差異を利用して成分分離を行い、分離した個々の成分の質量数を測定することで同定を行う。

固体・液体の有機成分含有物
工程内での温度・加熱履歴
(アウトガス分析の場合)
着目成分
サンプル内含有成分
(有機成分以外も)
直径 x 高さ : 4 x 8mm以内
(パイロライザー使用時)
固体 : 1 ~ 2mg/1測定
液体 : 1 ~ 5μL/1測定
○ 混在する有機成分をカラム(分離管)に通過させることで成分毎に分離可能
○ ピーク面積値や標準試料を用いた検量線法で定量分析を行うことが可能
○ ppbオーダーの感度で成分検出が可能(SIM(Selected Ion Monitoring)モード使用時)
○ 電子イオン化法により取得したマススペクトルはライブラリ検索により同定可能
○ 光イオン化法により取得したマススペクトルは分子構造の断片化を抑えられるため
分子イオン情報を感度よく取得可能
○ 固体試料のアウトガスを直接GC-MSに導入可能(パイロライザー使用時)
瞬間熱分解法 熱脱着法
発生ガス分析法 溶液注入法
多変量解析
接着剤の添加剤成分分析
樹脂のアウトガス成分分析
洗浄液中の有機成分同定
GC/MS測定の流れ (測定事例:市販菓子パン袋に付着した油分のGC/MS分析)
①前処理:エタノールにより油分を抽出して測定溶液を調製する。
②測定:測定溶液をGC部の注入口よりカラムに導入する。
GC部では成分分離情報(各成分ごとの保持時間とピーク面積[検量線を用いた換算濃度])である
【TIC(トータルイオンクロマトグラム)】MS部では各成分ごとの質量分析情報である【マススペクトル】が得られる。

③解析:マススペクトルをライブラリ検索して成分の同定を行う。
ライブラリ検索の結果、候補成分名、ライブラリデータとの類似度が一覧表として表示される。
これらのライブラリデータとマススペクトルのフラグメントパターンを照合することで同定を行う。

ピーク3の成分はオレイン酸エチル(m/z 310)と判明した。オレイン酸エチルは食用(植物)油由来の成分である。
成分同定の精度を上げるために ~光イオン化法(PI法)~
重水素ランプを用いた光イオン化(PI)法はイオン化エネルギーが約10eVであり、
汎用の電子イオン化(EI)法(70eV)より低いイオン化エネルギーでイオン化する方法である。
PI法を用いることで構造の断片化(フラグメンテーション)を抑制し、分子イオン情報を感度よく取得できる。
EI法で得た情報(フラグメントパターン情報とライブラリ検索結果)とPI法で得た情報(分子イオン情報)を
総合的に解析することで検出成分同定の精度を上げることが可能である。

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